前回は、物件案内時の入居希望者の目線と意識について考えました。今回は、第一印象を左右する管 理改善の具体策についてみていきましょう。

改善の第一歩ーゴミ置き場の見直し

調査で最も注目されているのが、ゴミ置き場の状態です。簡易的に設置されたネット囲いのゴミ置き場や、収集日を過ぎてもゴミが放置されている光景は、入居希望者にとって大きなマイナス印象になります。

写真①は、駐車場の一角に簡易的なゴミ置き場を設置した例です。袋があふれ、見た目も衛生面も良くありません。内見に訪れた人がこのような状態を見た場合に、いくら建物が気に入ったからといって申込に直結するでしょうか。

これに対して、専用のゴミステーションを設置すれば、見た目の印象は大きく変わります(写真②)。扉付き・金属製のボックスに変えるだけでも、ゴミの飛散やカラス被害を防ぎ、衛生面と景観の両方を改善できるのです。さらに、日常の管理負担も軽減されることが期待できます。

本件に関しては、見た目の印象は変わりましたが、駐車場のスペースにゴミ置き場が設置されているため、収益性を下けることにもつながっています。設置場所の選定も重要となります。


費用対効果の高い「共用部改修」

予算に余裕があれば、共用部の改修も検討するとよいでしょう。例を挙けてみます。

  • 古くなった集合ポストの交換
  • 鉄部やフェンスの塗装
  • エントランスの床材貼り替え
  • 植栽スペースの手入れ(雑草処理を含む)

これらは専有部のフルリノベーションに比べて費用が抑えられ、なおかつ全入居者に効果が及ぶため、一部屋あたりの負担額で考えるとコストパフォーマンスが高くなります。

他にも、日常の清掃時に小さな破損や汚れを修繕する、掲示板を定期更新して生活ルールや地域情報を発信するなど、コストがそれほどかからない小さな工夫やひと手間が、他のライバル物件に差をつけ、入居率のアップにつながるのです。


高稼働を維持するためには

賃貸経営で高稼働を維持するためには、室内の設備投資や賃料設定と同じくらい、管理状況の維持・ 改善が重要となります。

  • ゴミ置き場の整理・改善
  • 玄関・廊下などの清掃
  • 共用部や外構の補修
  • エントランスや植栽の美化

特に上に挙げた外観・共用部の整備は、少ない投資で大きな効果を生みます。「第一印象で選ばれる物件」を意識することが、空室対策の最短ルートであり、満室経営を支える土台となるのです。