賃貸経営において、避けて通れないのが建物の老朽化対策です。

特に築30年、40年と経過した物件で最も恐ろしいリスクの一つが「給水管の破損」、そして意外と知られていない「修繕後の二次被害」です。

今回は、実務の現場で実際に起きた事例をもとに、オーナー様が知っておくべき給水管リスクと、資産を守るための備えについて解説します。


【実例】修繕したはずなのに「水が出ない」?現場で起きた悲劇

都内某所の築40年超の鉄骨造マンションでの出来事です。1階フロアで給水管の漏水が見つかり、一時断水して修繕工事を行いました。工事は無事に完了したはずでしたが、給水再開から数時間後、複数の入居者様から「水が出なくなった」という緊急連絡が入ったのです。


原因は「長年のサビ」の移動

急ぎ調査したところ、原因は配管の経年劣化によるサビの詰まりでした。 断水によって一度水圧がゼロになり、再開時に一気に圧力がかかったことで、管内にこびりついていたサビが剥がれ落ち、貯水タンク手前で完全に目詰まりを起こしてしまったのです。結局、部分補修では対応できず、急遽「縦管(メインの配管)の全交換」という大規模な追加工事が必要となりました。


築30年以上の物件に潜む「給水管リスク」とは

築年数が経過した建物(特に築30年以上)では、目に見えない場所で配管の腐食が進んでいます。

  • 漏水による賠償リスク
    天井からの漏水で階下入居者の家財を濡らした場合、オーナー様の「施設賠償責任保険」での対応が必要になります。

  • 修繕コストの増大
    突発的な事故は、計画的な修繕に比べて費用が高額になりがちです。
  • 入居者満足度の低下
    断水が長引けば、退去リスクや賃料減額請求に発展する恐れもあります。


要注意!断水・給水再開時に起こる「二次被害」

給水管の修繕工事そのものよりも、実は「給水再開時」の方がトラブルが起きやすいことをご存知でしょうか。

なぜ給水再開時にトラブルが起きるのか?

  • 断水で管内の水圧がゼロになる。
  • 給水再開時の衝撃で、内部のサビや不純物(スケール)が剥がれる。
  • 剥がれたゴミが、各部屋の「給湯器フィルタ」「トイレのストレーナー」に詰まる。

入居者様から「お湯が出ない」「トイレの水が流れない」というクレームが来たら、それは設備の故障ではなく、サビ詰まりによる二次被害の可能性が高いのです。この対応にかかる設備業者の出張費や部品交換代は、オーナー様の想定外の出費となってしまいます。


オーナーが今すぐ取り組むべき3つの対策

トラブルを未然に防ぎ、長期的な収益を確保するために、以下の3点を確認しましょう。

① 長期修繕計画への「配管更新」の組み込み
築25〜30年を目安に、共用部・専有部を含めた配管の全面見直しをおすすめします。特に鉄管や亜鉛メッキ鋼管を使用している場合は、腐食しにくいポリエチレン管等への更新を検討しましょう。

② 保険の補償範囲を再チェック
加入している火災保険や賠償責任保険が、「どこまでカバーしているか」を確認してください。

  • 漏水による損害は補償されるか?
  • 原因調査費用は出るか?
  • 二次被害(サビ詰まりによる設備修理)は対象内か? 「修繕費は出るが、付随する損害は対象外」というケースも多いため注意が必要です。

③ 予防的なメンテナンスの実施
大規模な交換が難しい場合でも、定期的な配管洗浄や、給水再開時のフラッシング(濁り水の排出作業)を業者に徹底させることで、詰まりのリスクを軽減できます。


賃貸経営は「起きる前の備え」が利益を守る

給水管トラブルは、一度起きると被害が広範囲に及び、修繕費だけでなく入居者様との信頼関係にもヒビが入ります。賃貸経営において大切なのは、「トラブルが起きてから動く」のではなく、「起きる前に備える」ことです。「うちは大丈夫かな?」と少しでも不安に感じられたオーナー様は、まずは現在の配管状況と保険内容の確認から始めてみてはいかがでしょうか。

「所有物件の配管状況を診断してほしい」「最適な修繕計画を相談したい」という方は、ぜひ一度当社までお気軽にお問い合わせください。