「物流2024年問題」をご存じですか?労働基準法の改正に伴うトラックドライバーの労働時間制限によって、物流業界に輸送能力の不足が起こり、2024年4月から従来のようなスムーズな運送・配達ができなくなる可能性があるのです。これは私たちの生活に直結し、入居者への影響も大きな問題です。

需要増・リソース減。カギは再配達削減

輸送力不足が起こる背景のひとつが、ネット通販の普及に伴う「再配達」の増加です。コロナ禍下では人々の在宅機会が増え、再配達率も8.5%まで減少しましたが、現在は再び11%程度まで悪化。国土交通省の発表によれば、2021年度の宅配便個数は約49億個と膨大であり、わずか2%強の変化でも輸送業界への影響は甚大です。ここに「2024年問題」が重なれば、翌日配達や生鮮品の配達も難しくなると言われるほどです。

「置き配」促進で社会貢献&満足度UP

この問題に住宅業界や賃貸経営者が貢献でき、かつ空室対策にもなる施策が「宅配ボックス」です。苦労せず宅配ボックスで荷物の受け渡しができる物件は、入居者の満足度が高まることはもちろん、物流業界や2025年度再配達率7.5%を目指す政府にとってもありがたい存在です。加えて宅配ボックスは、今や人気設備ランキングでも上位常連であり、高い集客力を誇ります。宅配ボックスの設置は、社会貢献・空室対策・入居満足度向上の3つを同時に叶える施策なのです。

とはいえ、宅配ボックスを設置しさえすれば万時解決というわけではありません。設置の効果を最大化するには、「数」も重要なポイントです。目安は全戸数の3割程度とされますが、入居者層によっては5割、あるいは全戸分用意してもいいくらいでしょう。

さらに、設置したなら入居者に正しく利用してもらうことも必須です。せっかくの便利設備も、荷物の長期放置やボックスの私物化などによって使えなければ意味がありません。適正なボックス数と正しい使い方の周知で、入居者満足度の向上に努めましょう。