入居者属性は時代とともに多様化するものの、やはり賃貸経営のメインターゲットは10~20代の若年層。ちょうどこれにあたるのが、近頃よく耳にする“Z(ゼット)世代”と呼ばれる年代です。1月発表「Z世代のライフスタイルに関する調査」(アットホーム株式会社)から、若年層向け空室対策のヒントを探ってみましょう。
Z世代はデジタルネイティブ
Z世代は一般に、1990年代半ばから2010年代に生まれた25歳くらいまでの若者を指します。Z世代の最大の特徴は、生まれた時からインターネットやデジタルデバイスが当たり前の環境で育った「デジタルネイティブ」であること。必然、彼らの生活はスマートフォンが起点となることが多く、WEBメディアを通じての情報収集や、SNSによるコミュニケーションを日常のものとして育ってきた世代です。先述のアンケート調査では、Z世代らしい次のような回答も見られました。
これまでの世代とは少し違った顔を見せるZ世代。入居者募集という観点では、次のような施策が効果を発揮しそうです。
ネット無料は必須、できれば高速回線も
Z世代の生活はインターネットと切り離して考えられません。動画視聴、オンライン授業、ネットゲームなどでデータ量の多い通信も頻繁に行なうため、高速通信環境のニーズも高め。また、Z世代は「時間に対するお得感=タイムパフォーマンス」に敏感な世代と言われ、手間暇かけずにすぐ高速ネットが使えるお部屋に人気が集まると考えられます。
ステージングは「テレビなし」でOK
Z世代はテレビへの依存度が低いことも特徴です。調査でも、5人に1人がテレビを持たず、PCやスマートフォンで完結という結果に。ホームステージングを行なう際、従来はテレビ設置を前提とした部屋づくりをしていましたが、Z世代向けにはInstagramやTikTok、YouTube等の撮影用にアクセントウォールや照明を用意し、「撮影にすごく映える!」という印象の部屋をつくるのも一案です。
「推し活空間」づくりで差別化
「推し活」とは、アイドルや漫画のキャラクターなどの「推し」、いわゆるご贔屓を愛でたり応援したりする活動のこと。Z世代は推し活が盛んで、自身のマニアックな面を隠すどころか、自己表現として積極的に公開にするケースも多く見られます。調査では全体の2割が、推しのグッズなどを陳列する「推し活スペース」を確保していると回答。壁収納や吊り収納など、生活スペースを圧迫せず推し活を楽しめる空間をつくるのも有効でしょう。
男女問わず人気「独立洗面台」
Z世代の重視する住まい設備の第1位が、モニタつきインターホンやインターネット無料ではなく「独立洗面台」である点にも注目です。独立洗面台=メイクをする女性というイメージですが、近年は男性のスキンケア意識も向上。メンズメイクも浸透しつつあることを考えると、これからは性別を問わず独立洗面台が求められる時代かもしれませんね。