この時期の目標は”満室で4月を迎える”ですね。しかし、賃貸には「解約」がつきもの、永遠に満室を維持できるわけではありません。賃貸経営を成功へと導くには、解約や空室が発生することを前提に「理想の稼働率」を把握しておくことも重要です。

「日数ベースの稼働率」の算出方法

賃貸経営の重要指標のひとつが「稼働率」です。ただ、一口に稼働率といっても種類があり、例えば、ある瞬間の稼働戸数を全戸数で割って求める「時点ベースの稼働率」や、実際に得た賃料を満室想定賃料で割って求める「賃料ベースの稼働率」など、考え方や計算方法はさまざま。そして、賃貸経営の状況を判断するうえで重要となるのが、稼働=賃貸中の期間ととらえ、物件が年間どの程度運用されているかを算出する「日数ベースの稼働率」です。

仮に、全10戸のアパートで今年は2戸が解約となり、それぞれ空室が60日間あった場合の稼働率は、(365日×8戸+305日×2戸)÷(365日×全10戸)×100=3530日÷3650日×100=96.7%と計算できます。これがもし4戸の解約、空室90日であれば、稼働率は(365×6+275×4)日÷3650日×100=90.1%となるわけです。

解約率を把握し、目標空室日数を設定する

ここで注目したいのが、稼働率が「解約数」と「空室期間」によって左右されている点です。年間の解約数が少なく、また解約後の空室期間も短ければ、当然に稼働率は高まります。つまり、95%や98%といった高稼働率を実現したいと考えるなら、この両方の数値を把握し、対策を練る必要があるわけです。

といっても、解約の発生する割合(解約率)は、思い通りにコントロールできるものでもありません。一般に、シングルタイプであれば年間20~30%程度、ファミリータイプでも15~25%程度は解約が発生すると言われており、公益財団法人日本賃貸住宅管理協会が発表する最新の「日管協短観2021年度版」においても、シングルの平均居住期間は3年3ヶ月(解約率30.7%)、ファミリーは5年1ヶ月(解約率19. 6%)とされています。エリアやターゲットによって多少の差異はあっても、この数値が大きく変わることはない以上、賃貸経営者はもう一つの要素である「空室期間」に目標を設定するべきでしょう。

理想の稼働率から逆算する賃貸経営

もし、解約率20%の物件で稼働率95%を目指すとしたら、許容できる空室期間はいったい何日になるでしょうか。次の表は稼働率と解約率から導いた、許容できる空室期間の早見表です。

表を見ると、95%稼働には91日、約3ヶ月の猶予があることが分かります。言い換えれば、次の入居まで92日以上かかってしまえば、95%の稼働は叶わないということです。

賃料維持にこだわることも大事ですが、目標稼働率を下回るまで空室を引き延ばしてしまえば経営計画にも狂いが出ます。状況によっては賃料の引き下げのほか、設備系の追加投資や広告料の増加等によって空室を短縮し、稼働率と収益性を向上させることも必要でしょう。満室を目指して競い合う今だからこそ、数字に基づいたロジカルな賃貸経営を行ないたいものです。