ついに春の引っ越しシーズンが到来しました。お部屋探しの動きが一区切りとなる3月末を迎える前に、どうにかして空室を解消したいところですが、苦戦が予想される物件に関しては早めの対策実施が欠かせません。今回は、スピード感と費用対効果を重視した”10万円以内でできる空室対策”をご紹介しましょう。

ポータルサイト対策で反響アップ

空室対策の優先順位を考えるとき、大前提となるのが「ポータルサイトの検索に引っかかるかどうか」の視点です。SUUMOやHOMESといったポータルサイトでの部屋探しが主流の今、入居希望者は無数にある賃貸物件を”希望条件”で絞り込んで部屋を探します。バストイレ別、エアコン付、オートロック…など、人気条件を備えない物件は初めから足切りに遭い、検索結果に表示されることもありません。検索に残らないということは当然発見もされず、問い合わせが発生しないということです。

そのため、まずはポータルサイトの人気絞り込み条件をひとつでも増やし、物件情報を見つけてもらいやすくすることが第一ステップとなるわけですが、10万円以内の予算でも人気条件を増やすことは可能です。例えば、定番化しつつある「TVモニター付きインターホン」や「温水洗浄便座」の導入。新築物件ではほぼ標準装備であり、導入効果も十分です。また、物件の安心感を高める「防犯カメラ」もオススメ。高コストのイメージがありますが、Wi-Fi接続式のネットワークカメラなら1万円未満で購入できるモデルもあり、流行りの無料インターネットと合わせて導入してみるのも一案です。

予算10万円以内の検索対策アイデア

  • TVモニター付きインターホン
  • 温水洗浄便座
  • ガスコンロ(2口以上)
  • 防犯カメラ
  • 浴室乾燥機


第一印象改善で内見者の入居を後押し

既にある程度の検索条件が備わっているなら、内見を意識して、物件の第一印象改善に取り組むのも手です。アプローチ・外廊下・階段など足元の汚れを「高圧洗浄」で取り除いたり、エントランスに入った瞬間の印象を「集合ポストの交換」や「玄関ドア・エレベータードアの塗り替え」等で改善したりと、見逃している美観改善ポイントは多いものです。そのほか「部分的な鉄部塗装」、駐車場や駐輪場の「白線引き直し」、「植栽の整備」「枯草・枯葉の除去」なども美観対策として検討できるでしょう。

一方、専有部の見せ方にも工夫の余地があります。例えば「スマートロック」のような最新設備を導入すれば、それだけで “先進的な物件”というアピールが可能に。派手さには欠けるとしても、「室内物干し」「姿見鏡」などは暮らしやすさを想像させ、内見者に好印象を与えます。また、室内から“古臭さをなくす”のも重要で、内見時に目につきやすいエアコンやシューズボックス、水栓、ドアノブなどの交換をすると、内見者の印象もずいぶんと違ってくるはずです。

予算10万円以内の第一印象改善アイデア

共用部
  • 高圧洗浄
  • ポリッシャー清掃
  • 人感センサー照明設置
  • 集合ポストの交換(小規模)
  • 鉄部塗装(小規模)
  • 玄関ドアの塗り替え(小規模)
  • 駐輪場の整備

専有部
  • スマートロック
  • 室内物干し
  • 姿見鏡
  • 備え付け照明設備
  • ピクチャーレール
  • エアコン交換
  • シューズボックス交換
  • 水栓交換
  • ドアノブ交換


募集方法を見直して訴求力強化

募集の反響が少なかったり、内見時の決め手に欠けるときは募集方法を見直してみるのもひとつです。中でもお勧めしたいのが、室内に家具や家電を配置してモデルルーム化する「ホームステージング」の手法。ターゲットに合わせたインテリアにすることで、その部屋独自の“暮らし方”が内見客にダイレクトに伝わり、物件の訴求力がアップします。

ネックは家具などを購入するコストですが、「レンタル家具」や本物そっくりの「ダミー家具」を活用すれば、低コストでのホームステージングも実現可能。また、部屋の写真に家具のCGをはめ込む「バーチャルホームステージング」なら、安価かつ手軽に家具入りの広告写真を作ることができ、募集力強化を図れます。

予算10万円以内の募集対策アイデア

  • ホームステージング(レンタル家具・ダミー家具の活用)
  • バーチャルホームステージング
  • 入居時プレゼント
  • 内見グッズ設置
  • エリアマップ作製


市場に合わせて募集条件の緩和も視野に

設備などの見直しについて見てきましたが、何より優先したいのはオンシーズンに間に合わせること。今ある設備や募集方法での勝負に”もう一押し”加えるなら、募集条件を適度に緩めて反響率・成約率をアップさせることも視野に入れるべきです。例えば「初期費用(敷金・礼金)の減額」や、一定期間は家賃を取らない「フリーレント」の採用などは効果的。入居が3月下旬となる学生向けに「契約開始日や家賃発生日を遅らせる」という施策も有効でしょう。また、高齢者や外国人などへの「募集範囲の拡大」についても、既存ターゲットの入居に苦戦しそうな場合は検討を。

予算10万円以内の条件見直しアイデア

  • 初期費用減額、フリーレント
  • 契約開始日・家賃発生日の譲歩
  • 募集範囲拡大(外国人・高齢者・フリーランスなど)


さまざまな空室対策を紹介しましたが、シーズン終盤では周辺の競合物件も相次いでテコ入れを行なうため、せっかくの施策も効果が落ちてしまいます。繰り返しになりますが、この時期の最重要ポイントはスピード感。管理会社と相談して、すぐできる効果的な空室対策をぜひ探ってみてください。