鉄道が主要な交通手段となるエリアでは、駅徒歩分数は不動産の重要なアピールポイントです。その駅徒歩分数の表示ルールが、2022年9月1日の「不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)」の改正によって変更されました。賃貸経営者が知っておくべき影響をご紹介しましょう。

“起点”変更。建物の出入り口が出発点に

広告等に徒歩分数を表示する場合には、徒歩1分=80mで計算するのがルール。今回の改正でも駅徒歩分数の計算方法、および終点が「駅舎の出入り口」であることは変わりません。変わったのは距離を測りはじめる物件の「起点」の定義です。

これまで駅徒歩分数は、「物件の敷地の端」から駅舎の出入り口までで算出していました。しかし改正規約では、マンションやアパートの距離の起点は「建物の出入り口」であると明文化。つまり敷地の中で最も駅に近い地点ではなく、建物のメインエントランスからの道路距離を分数に直して表示することになったのです。

特に影響を受けるのは、角地に構える大規模な集合住宅や、敷地内に複数の建物が建っているケース。新たに募集をする際、物件によっては1~2分程度、これまでより徒歩分数が増える可能性が生じます。

WEB検索を意識して、アピールポイントを確認

チラシなどと比較して、特に表示変更の影響が懸念されるのはWEB広告です。不動産ポータルサイトにおいて、駅徒歩分数は重要な検索条件。これまで「徒歩10分以内」の検索条件で表示できていた物件が今回の表示変更で「徒歩11分」となれば、反響数にも影響が出ることが予想されます。

他にも今回の改正では、物件周辺の公共施設やスーパーなどを距離でなく徒歩分数を使用して表記できる変更も。正しく、具体的で分かりやすい表示となることは、新たな入居者の心を掴み入居後のギャップを減らすメリットもあります。表示ルール変更を機に、改めて物件のアピールポイントを確認し、オンシーズンに備えましょう。