賃貸経営において、修繕費や管理費などの「コスト」を抑えることは、一見すると利益を最大化するように思えます。しかし、やみくもに目先の出費を惜しむと、物件価値の低下だけでなく、全方向に及ぶ悪影響を引き起こすリスクがあります。今回は、当社に管理が移管される前に深刻な管理不全に陥っていた、ある駅近ビルの事例をご紹介します。

まさに惨状、コスト削減が生んだ負の連鎖

この物件は、好立地でありながら、適正水準よりも大幅に低い家賃設定になっており、慢性的なキャッシュフローの悪化に苦しんでいました。収益に余裕がないため、必要な修繕も「とにかく安く」ということだけを基準を発注されていました。

その最たる例が防水工事でした。安さを求めた結果、壁との接合部である「立ち上がり部分」の施工が行われておらず、結果として階下への深刻な漏水が発生。鉄骨造の建物であるため、漏水は躯体そのものを傷める致命的な事態へと発展しました。

さらに、賃貸借契約の不備も問題を大きくしていました。契約者との明確な取決めが不足していたため、テナントである重飲食店のグリストラップが全く清掃されず、激しい悪臭を放っていました。やがて汚水が噴出し、休業を余儀なくされた他の賃貸人からも営業補償金を請求されるという法的トラブルにまで発展したのです。

ビルの敷地内も荒れていました。付帯駐車場には店舗のディスプレイ品が散乱し、夜間には若者がたむろしてさらにゴミを散らかす悪循環に。入居者への注意喚起も行き届いておらず、建物外に放置された看板が通行人の妨げになるなど、駅前という多くの人が行き交う場所に極めて悪い影響を与えていました。

適正化がもたらした劇的な改善

ご縁あって当社が管理を引き継いだ後、まずは建物の寿命と安全を守るため、適正な防水工事を最優先で実施し、階下漏水を完全に止めました。契約面も抜本的に見直しました。グリストラップの定期清掃をはじめ、テナントが負うべき管理責任を契約書上で明確に定義し、徹底させました。問題の多かった駐車場は、コインパーキングへと一新。これにより不法侵入者を根絶しただけでなく、新たな収益源へと生まれ変わり、空き缶などのゴミ問題も解消しました。

費用対効果の高いメンテナンスがすべてを好転させる

このように管理を適正化し、物件に必要な工事を正しく行うことで、物件の安心感と価値が向上。結果として家賃を適正価格へと値上げすることができ、キャッシュフローが改善しました。 この成功は、当社を深くご理解くださり、提案を実行させてくださったオーナー様のご決断の賜物です。今後もその信頼に応え、将来を見据えた確かな賃貸経営をともに歩んでまいります。